「愛し、愛し抜かれた」
校長 平田 理
12月はクリスマス礼拝やその他のクリスマスプログラムを行うため、校内では讃美歌やオペレッタの台詞を口ずさむ声が広がります。街中にもデコレーションやイルミネーションが施され、BGMもクリスマスソングが多く流れる季節です。
この季節、時折思い起こす曲に、Nat King Cole(ナット・キング・コール 1919⁻1965)が晩年に多言語(6言語)で歌い、日本でも有名になった「LOVE」があります。
歌の中でL,O,V,Eの夫々の文字にのせて愛の定義のような歌詞(作詞:ミルト・ゲイブラー Milton‘Milt’Gabler)がならびます。「V」では、愛は「とても桁外れ(very very extraordinary)」と表現されています。日本語訳では「ベリーグッド」と分かり易い言葉に省略されていますが、英語では、愛はとても驚くべき、非常に特別な、現代風では「ハンパない」心情であることを伝えてくれます。
牧師の父と教会オルガニストの母に育てられたナット・キング・コールは、当初、ピアノで才能を開花させますが、何気なく歌った声にも注目が集まり、米国では黒人歌手として初めて、「人種の壁」を越えて、一世を風靡するスターにまで上り詰めます。数多くの名曲を歌い上げた彼が人生の最後に多くの言語で届けた歌は「愛」の本質を問う内容でした。
聖書には
「・・・世にいる弟子たちを愛して、この上なく愛し抜かれた。」
(ヨハネによる福音書13章1節)
と、イエス様の弟子たちに対する非常に強い愛情表現があります。この言葉は、十字架刑に向かう直前にイエス・キリストが弟子たちのひとり一人の足を洗い、互いに謙遜で、互いに愛し合うことを繰り返し説いた時のものです。イエス様は十字架の死をも厭わない「桁外れの」愛を弟子たちに注がれたのです。そしてその愛は弟子たちばかりか、全ての人に対しても注がれていることを聖書は教えています。
学校で子どもたちが朝ごとに暗唱するミッションステートメント「わたしたちは・・・互いに愛し合い、互いの必要を満たし・・・」にある「愛」はイエス様の「Very Very Extraordinary」の愛を心に刻み、その愛に答えるためなのです。
私たちは、クリスマスの季節だからこそ、この「愛し、愛し抜かれた」愛を思い起こし、イエス様から愛されている喜びを広げるために、ひとり一人が行動を起こす必要があります。
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