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「居どころ」

校長 平田 理

 

 

 文科省と国立教育政策研究所(1992年)が学校不適応の子どもに対して「(心の」居場所づくり」が大切だと表現し、「居場所」に心理的な意味を含む利用が進みました。「居場所」は子どもが安心して、自分の存在や充実感を感じられる時間や機会があるところです。誰でも、自分が大切にされ、認められ、「いること」を実感できて、心が満たされる「居どころ」が必要です。

 

 しかし、多元的な価値が存在する現代では、家庭、学校や教室、校外、仮想空間などにも「新たな居場所」が広がっているにも関わらず、本当の意味での「つながり」や「居どころ」を実感できない子どもが増えているのかも知れません。

 

「学校がつまらない」、「友達がいない」と「不安」を訴える子どもがいます。表面的には一輪車や竹馬を楽しみ、お友達と他愛もない会話を楽しみ、授業に参加し、習い事に通い、「楽しい時間」を過ごしていても。「本当の自分」を見せられない、「安心できない時間」や「不安」を抱えているのでしょう。

 

 ドナルド・ウィニコット(Donald Winiccotte,1896-1971)は英国の小児科医、小児精神分析家です。ウィニコットは「完璧な育児」ではなく、乳児には「ほどほどの育児」が大事だと考えました。子どもの欲求に完璧に応えられる親はいません。遅くなったり、見当違いだったり、気づかなかったりします。しかし、この「不完全さ」が「自分の外側の世界」を知るために必要です。「不完全な親」の「不適切な対応」によって子どもは少しずつ、自分の外側にある「社会」を学び、「現実」に出会うのです。ウィニコットは完璧な親ではなく、時に失敗する「ほど良い親(母親)」が大事だと言います。

 

 人はいつも完全で理想的な対応はできませんし、完全な対応をしてもらえません。自分以外の人と「ほど良い」距離感を保ち、「不安」や「恐れ」と向き合い、「不完全な」他者や自分を受け入れる必要があります。簡単には理想通りの時間や場所を見つけられないかも知れませんが、私たちの全ての不安や失敗を受け容れ、弱さと痛みを担われるイエス様が「居どころ」になって下さいます。有名な讃美歌『いつくしみ深き』は、今も変わらず、イエス様の大きな支えと励ましを教えてくれます。

 

Can we find a friend so faithful 私たちのすべての悲しみを分かち合う

who will all our sorrows share? これほど誠実な友を見つけられるでしょうか?

Jesus knows our every weakness; イエス様は私たちのすべての弱さを知っています

take it to the Lord in prayer  すべての弱さをイエス様に祈り委ねましょう

 

 

 

学校紹介「校長挨拶」はこちらをご覧ください

「AERA dot.」で校長インタビュー記事が掲載されました

朝日新聞出版  AERA English 特別号『英語に強くなる小学校選び2022』(7月29日発売)と連動した WEB企画「AERA dot.」内で、平田 理 校長インタビュー記事が掲載されています。ぜひ、こちらからご覧ください。

 

本校の英語教育については、AERA English 特別号 に掲載されています。こちらも併せてご覧ください。