「手から手へ」
校長 平田 理
絵本「手から手へ」(集英社2012年)をご存知でしょうか。池井昌樹の詩集ですが、写真家 植田正治(1913-2000)の写真で構成されています。植田正治は、個人名が『植田正治写真美術館』(鳥取県)となるような日本を代表する写真家ですが、掲載されている写真は、詩集のために撮影されたのではありません。しかし、構成(山本純司)が絶妙で、あたかも詞のために撮影されたように、挿入された絵のごとく、素晴らしい相乗効果を生み出し、沁みる絵本詩集です。
「・・・どんなにやさしいちちははも おまえたちとは一緒に行けない
どこかへ やがてはかえるのだから・・・」
「・・・やさしさを捨てたくなったり
どこかへ置いて行きたくなったり・・・やさしさがおもたくなったら・・・
そのやさしさがくるしくなったら・・・そんなときには
ひかりのほうをむいてよ・・・一条のひかりから眼をそむけずにいよ」
子どもと一緒に行けない、居られない、私たち大人は何を子どもに渡そうとしているのでしょうか?大切なものを手から手へ渡したいのですが、その大切なものは何でしょうか。財産でしょうか、名誉でしょうか、何を手渡そうとしているのでしょうか。
「ひかりのほうをむいてよ」未来とも、希望とも置き換えられるでしょうか。「ひかり」は私たち大人が先人から引き継いできたものです。その多くは眼に見えない大切なものばかりです。平和、やさしさ、つながり、支え合い・・・いのち。
聖書は「善を行い、良い行いに富み、物惜しみをせず、喜んで分け与えるように。真の命を得るために、未来に備えて自分のために堅固な基礎を築くようにと。」(テモテへの手紙Ⅰ 第6章18~19節)と勧めます。一人の大人として、大切なものを手から手へと確かに渡したいと思います。
学校紹介「校長挨拶」はこちらをご覧ください。
◆学校見学について◆
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