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「愛すること」

校長 平田 理

 

 学校ホームページのリニューアルに伴い、新着情報の中に、この校長通信が新たに加わりました。不定期ではありますが、児童の様子や学校の取り組みなどをお伝えしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 「愛」とはなんでしょうか。有史以来、人が文学、哲学、宗教、道徳などを通して答えを求め続けている、究極的質問の一つです。ですから、明確に応えられる人も、書籍も、なかなか存在しません。

 しかし、聖書は、「愛」とは「神様が、愛そのものである」と書いています(ヨハネの手紙Ⅰ 第4章8節)。その「愛」とは、見返りを求めずに無償で相手に尽くすものであり、忍耐、謙遜、信仰を伴うことを示しています。更に、神様が私たちを愛されているように、私たちは互いに愛し合うようにと命じています。つまり、聖書で用いる「愛」は、日常的に使っている家族愛、友愛、同胞愛などとは異なり、「無条件で、見返りを求めない愛、究極の無償の愛(アガペーの愛)」を意味しています。

 敬虔なユダヤ教家庭で育った社会思想家エーリッヒ・フロム(Erich Seligmann Fromm 1900-1980)は名著『愛するということ(1956)』の中で、愛の5つの要素を挙げています。

 1.あたえる:「自分のなかに備えられ、与えられたものを与えること」授与

 2.きづかう:「愛する者の生命と成長を積極的に気にかけること」配慮

 3.になう:「誰かの必要を満たす責任を持つこと」責任

 4.うやまう:「尊敬とはその人が唯一無二の存在であることを認めること」尊敬

 5.しる:「己への関心を越えて、その人をありのままに受容れ、知ること」受容

 フロムは本当の愛を体験するためには愛を深く学び、愛するための技術を習得する必要があると言い、その技術を身につけるには、愛の理論を学び、練習に励む必要があると説きました。「愛すること」は自然に湧き上がる感情ではなく、繰り返し学び、獲得するまで練習が必要な「技術」だと言うのです。

 「真実の愛」を必要とし、互いに「誠実に愛し合う関係性」が必要な時代を生きる子どもたちと、「愛の本質」を共に考え、共に学び、共に心を込めること、共に愛することの修練に、これからも励んでいきたいと思います。

学校紹介「校長挨拶」はこちらをご覧ください。

 

 

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