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「『それしかないわけないでしょう』?」

校長 平田 理

 

 

 『それしかないわけないでしょう』(ヨシタケシンスケ 2018)という絵本をご存じの方も多いでしょう。哲学問答のようなタイトルの「こども向け絵本」に、考えさせられます。子どもたちが「おとな」から教えてもらった「みらいのせかいは、たいへんなことばっかりって、ホント?」という問いに、私たちはどう答えれば良いのでしょうか。

 

 昨今、制限されたり、自粛したりする「たいへんな生活」の中で、私たちの日常には、「これしかない」ことがたくさんあって、「あたりまえ」で、「ありふれた」ことで、社会が成り立っていることに気づかされます。だから、変えられない、外せない、止められないことが多いのかも知れません。私たちの社会は、これまでの経験や知見を重ねることで、これから起こるかもしれない「みらいのせかい」は、「きっとこうなる」「だからこうするしかない」と、見えているつもり、わかっているつもりになっていたようです。

 

 今は見えないこと、わからないことだらけに囲まれて生活しなければいけません。ましてや、「みらいのせかい」なんで、想像も、予測もつかない「未確定」だらけです。しかし、絵本の中で、尋ねられたおばあちゃんは明るく答えます、みらいがどうなるかなんて、だれにもわからないんだから、「だいじょ~ぶよ!」(乱暴なくらい楽観的ですが。)

 

 ですから、子どもも大人も、今できることの最善や最適を選び、「あたりまえ」にとらわれた考えや「こうするしかない」という既定路線を外れ、「それしかないわけないでしょう」の気持ちで、多様な選択肢や、新しい視点から「みらいのせかい」の可能性を広げる生き方、考え方が大切です。

 

 聖書も「無垢であろうと努め、まっすぐに見ようとせよ。平和な人には未来がある。」(詩編37編37節)と説きます。私たちには力及ばない、色々な事情や状況はありますが、心を澄ませ、本当に大切なことを見つめ、選んでいく努力が必要です。

その先に「確かに未来はある。あなたの希望が絶たれることはない。」(箴言23章18節)と信じ、心から「たいじょ~ぶよ!」と答えられる生き方があります。

 

 

 

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