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「ひとにやさしく」

校長 平田 理

 

 

 心理学者の行った興味深い調査があります(アーメンダリッツ、他  2004年)。この調査はおよそ400名の学生に「人にしてあげた親切」と「人にしてもらった親切」をそれぞれ思い出させ、書き出させたのです。結果は「してあげたこと」35、「されたこと」1の比率で書き出されたのでした。「してもらったこと」の記憶が薄いことに比較して、「してあげたこと」は35倍も覚えていたのですから、人はおよそ「恩着せがましい」生物のようです。

 

 人との関係を豊かにするために、互いに小さな幸せを感じるためには、親切の記憶を心の中に留めるのではなく、日々新たな心持ちと共に誰かに渡し、見返りを求めない心が大切なのです。

 聖書は教えています、「…古い人はその行いと共に脱ぎ捨て、造り主の姿に倣う新しい人を身に着け、日々新たにされて、真の知識に達するのです。」(コロサイの信徒への手紙3章9,10節)

 

 在阪にある大学院入学試験問題では、漫画『宇宙兄弟』(小山宙哉 作2008年~)の中で描かれたことで世に知られる「JAXA」、あるいは「NASA」の宇宙飛行士を選抜する試験内容を参考にして出題されたことがありました。

①疲れていても他人に優しくできるか

②自分と異なった価値観や意見に、傾聴できるか

③寛容さ、知的体力、柔軟性に富む発想力があるか

④地道な作業に対する献身度が高いか

⑤局面打開のための創造性豊かな発想や発言ができるか

⑥合意形成能力:互いの能力を認知し、役割分担する能力があるか

 およそ人としてどれだけ成長し、協調できるのか、伸びしろやゆとりが大切な要素とされるのです。

 

 20年近く前に、香取慎吾さん主演の「ひとにやさしく」というテレビドラマが放映されました。ブルーハーツというロックバンドの甲本ヒロトさんの同名曲「ひとにやさしく」がタイトルに採用され、挿入歌でもありました。

『人は誰でも くじけそうになるもの ああ 僕だって今だって・・・人にやさしくしてもらえないんだね 僕が言ってやる。でっかい声で言ってやる。ガンバレって言ってやる。聞こえるかい ガンバレ!!』

 

 自分が窮地に立たされていても、疲労困憊の中にあっても、誰かを支えようとする優しさと勇気が求められる時代なのです。

 「香油も香りも心を楽しませる。友人の優しさは自分の考えにまさる。」(箴言27章9節)

 

 誰かの必要を感じとり、必要とされているところへ出向き、親切な行いと気持ちを届けられる子どもとして成長してくれるように、期待しています。

 

 「あなたがたはこの世に倣ってはなりません。むしろ、心を新たにして自分を変えていただき、何が神の御心であるか、何が善いことで、神に喜ばれ、また完全なことであるかをわきまえるようになりなさい。」(ローマの信徒への手紙12章2節)

 

 

 

学校紹介「校長挨拶」はこちらをご覧ください。