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「コミュ力の素地」

 校長 平田 理 

 

 

 

 「だから~、さっきから〇〇だって言ってんだよ」「は~?○○?なにいってるか、わかんね~」「だからさ~、○○だってば、わかるでしょ?」「○○?わかんね~」時折、校内や校庭で耳にする「噛み合わない」会話です。共通理解や話題であるはずですが、伝えようとする言葉と、その言葉の意味理解に「溝」や「壁」がありそうな会話です。

 

 自分以外の人と交流的な関係をつくる力、「コミュニケーション能力」を「コミュ力」として短縮し、昨今では個人の社会情緒的な力の一部として評価しています。自分以外の人との交流とは、家族、親族、近隣、地域、組織、集団、幼小中高の先生、友達、先輩後輩、大学・大学院、国外の人・・・との間で培われる関係性ですが、少子高齢化、都市型家族の増加の影響でしょうか、多様な関係性、他者との出会いも限定的で、会話力が未熟な児童が増えている様子です。校長室を尋ねてくる児童でも本当に大人びた対話が成立する児童もいれば、同学年でも幼い、単語中心の反応ばかりの児童もいます。そもそも交流が成立しにくい未熟な会話力や察知力ですが、対話(dialog)や会話(Conversation)の機会が減り、その術が未熟なので会話の内容が噛み合わない場合が増えているのかも知れません。

 

 自分の考えや思いを言語化して伝える意欲が無いと心には響かないでしょうし、たとえ、言語化が難しい感情や思いであったとしても他者への交流意欲があれば、「伝わる」「受取る」のです。「伝わる」「受取る」ことで他者と関わることの楽しさ、喜びを知るでしょうし、自らが用いた言語や行為のもたらす意味を学ぶでしょう。とりわけ、感情を伴った言語や表情によって交流を重ねることができれば、他者を知ることばかりか、自分を伝えることで自分自身を間接的に知ることにもつながるのです。コミュニケーションの力を育てるには、その素地となる交流意欲や他者への関心、思いを外向きに整えるとともに、安心感がある関係性の中で対話や会話の「機会:練習」を増やし、利用する言葉や表現を繰り返し使ってみる経験が大切なのです。翻って、ご家庭でのお子様との対話や会話が減っていませんか?指示や予定の伝達のみでは「コミュ力」の素地は育ちにくいのです。

 

 聖書は「・・・知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、 本当に重要なことを見分けられるように。」(フィリピの信徒への手紙1章9,10節)と「見分ける力」を養うことを勧めます。

 お子様との対話を増やしてみませんか?

 

 

 

 

学校紹介「校長挨拶」はこちらをご覧ください。