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2025.09.05

校長通信

「身近にある大切な光」

校長 平田 理

 

 

 

 

夏休みの課題の一つである自由研究は、さまざまなテーマにじっくりと取り組む良い機会です。

この夏は画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890)をテーマに美術館を訪問したので、その学びを紹介します。

彼の作品は、光あふれる『ひまわり』や、激しいタッチの『星月夜』など、多くの人に知られています。しかし、作品の背景には、彼の苦悩に満ちた人生と深い信仰があったことはあまり知られていません。

ゴッホは、オランダの牧師家庭に生まれ、幼い頃から聖書に親しみ、人々を救いたいと願う少年でした。しかし、内向的な性格ゆえに周囲との関係に悩み、信仰も追い詰めるような「絶対的」で「自己犠牲を強いる」ものになっていったようです。

青年期に失恋した際にも信仰に救いを求め、結果的に父親と同じく伝道者の道を志しました。ベルギーの炭鉱地では、貧しい鉱夫たちに献身的に尽くす生活を送りますが、その極端な生活や行動は教会にも理解されず、伝道者の職を解かれてしまいます。この挫折は彼を深く傷つけましたが、同時に「貧しい人々の姿を描くこと」を人生の目的とするきっかけとなったのです。こうして、彼は27歳で画家としての道を歩み始めました。

初期の作品である『ジャガイモを食べる人々』には、貧しい農民の厳しい生活と、彼らの持つ神様への素朴な信仰が表現されています。これは、牧師の息子として育ったゴッホの信仰心と、農民たちを見つめる温かい眼差しがあったからこそでしょう。

その後、パリで印象派や浮世絵と出会い、彼の画風は一変します。『ひまわり』の鮮やかな黄色や青は、単なる美しい色彩では無く、暗闇のような人生でも必死に光を求める、彼の「祈りの表現」だったのかもしれません。

ゴッホは

「疲れた者、重荷を負う者だれでもわたしのもとにきなさい。休ませてあげよう。」

(マタイによる福音書11章28節)

との言葉を拠り所としましたが、心の不安定さは彼を苦しめ続け、晩年の『星月夜』は、渦巻く夜空と糸杉が、心中の苦しみや激しい葛藤を描いたかのようです。

「絵を描くこと、それは光を追い求めることだ。」「作品を通して人々に慰めを与えたい。」

ゴッホにとって絵を描くことは、神様を語り、人を愛し、人の苦しみに寄り添うための「もう一つの伝道方法」だったのでしょう。ゴッホは37歳という短い生涯の中で2000点余の作品を残しましたが、生前には名声を得られませんでした。しかし、作品は、信仰に根ざした人間への深い愛と、絶望の中でも光を求め続けた魂の証として、今もなお私たちに感動を与え続けています。

 

 

 

 

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