2025.11.11
校長通信
校長 平田 理
今秋は立て続けに国際的な首脳会談が開催され、多くの報道でその場面が映し出されました。繰り返し視聴していると、ほぼすべての会談が対面で向き合う形で、長い四角いテーブルを挟んで双方が対峙し、議論や討議を行っていました。国際会議としては当たり前の光景が、世界中で紛争と対立が増えている時代だからでしょうか、人と人の「へだて(境)」を象徴しているように感じられました。
昭和時代の家庭の象徴的な家具のひとつ「ちゃぶだい」を皆さまご存知でしょう。家族の部屋が個別ではなかった時代は家族の集まる場所がリビングであり、寝室でもありましたので折り畳みの脚で片付けやすい家具「ちゃぶだい」は重宝でした。しかし伝統的な家具である「ちゃぶだい」は、椅子の文化が浸透するにつれ、姿を消していきました。ところが、レトロやヴィンテージを見直す若い世代に、距離や境をつけない家具として、単なる古い家具以上の価値で見直されています。「ちゃぶだい」は基本的に円形が多く、座る人たちの間に「上座・下座」といった明確な序列や境を作らないからです。四角いテーブルのように角(かど)がないため、向かい合うのではなく、皆が中心を共有する形になり、自然と人や心の距離を縮める効果があるからかも知れません。
「境をつけない」という考え方は、国際的な場での「円卓会議」の効能にも通じます。
円卓会議は参加者全員が平等な立場で議論を進めることを前提としており、対立や優劣ではなく、相互理解と協調を促します。この形は、参加者が本音で話しやすくなり、お互いの意見を尊重し合うことで、より建設的で平和的な結論に到達する手助けとなるとも考えられています。さらに「ちゃぶだい」や「円卓」が持つ「平等性」と「協調性」を促す力は、「平和を創り出す考え方」と深く結びつくのではないでしょうか。物理的な「境(へだて)」を取り払うことで、相手との間に心理的にも壁を作らず、一人ひとりが大切にされていると感じられる環境が生まれます。こうした環境で対話し、お互いの多様性を認め合うことは、争いのない平和な関係や互恵社会を築くための第一歩となるはずです。
単に家具や形式だけではなく、「平等な立場で向き合う」「心の距離を縮める」努力と姿勢は、個人でも国家間でも、そして、家庭においても平和な関係性を築く上で大切な土台です。
学校紹介「校長挨拶」はこちらをご覧ください